決まり手について【逃げ・差し・まくり・まくり差し・抜き・恵まれ】
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ボートレースで選手が勝利すると言ってもその勝ち方は様々。勝ち方にはすべて「決まり手」というものが決まっています。

ここではボートレースにおいて数多ある「決まり手」を全て解説・紹介していきます。

逃げ

スタートから先頭に立ち、そのまま先頭のままでゴールする勝ち方。

基本的には1号艇で用いられる決まり手。「イン逃げ」とも言う。

少なくとも1日数十、多いときには数百のレースが行われているが、最も多く出現する決まり手が“逃げ”だ。水面特性や天候条件により日々変動やムラはあるが、半数以上は逃げでレースは決する。6艇が横並びで一斉にスタートをする競技の特性上、ターンマークに最も近い位置であるインコース艇が有利になるのは物理的に当然のことだ。また逃げ決着が多く発生する一因には、接触や転覆などのアクシデント時の影響を軽減するために出力低減モーターが使用されていることも挙げられる。文字通り、パワーを抑えたエンジンを使用するため、内の艇を捲り切るほどのパワーを引き出すことが難しくなり、外からの捲りが利きにくくなっているのだ。パワーのないエンジンで無理に求めても伸びが付かない。それならばと、起こしやターンに影響する出足、そしてスタート前後の加速や、トップスピードに到達するまでの中間速である、いわゆる行き足を求める調整が主流となっている。そうすることで、コースの利が活きるレースが増えているのだ。そのコースの利が最も強まるインが真っ先にターンマークを回って押しきるのがイン逃げだ。しかし、インに入れば誰でも易々と逃げ切れるわけでもない。スタートで遅れれば捲られる、旋回半径が大きくなれば差しを許すことになる。スタート力・旋回力、そして出足・行き足といった機力の裏付けが重要になる。よく決まるが、簡単には決まらない側面もあるといえる。

差し

まくりとは反対に、内の艇を内から追い抜いて勝利する勝ち方。

内の艇が前にいる時に可能な手法で、スタート直後で言うと2号艇に多い決まり手。

決まり手で逃げに次いで割合を占めるのが“差し”だ。ボートレースでいう差しの概念は、1Mで先に回った艇の内側のコースを通して勝つことだ。差したときに、差す艇の内に他の艇がいないことも条件となる。自艇の内側に艇がある隊形となると、それは後述する“まくり差し”だ。度々見られる差し決着は、やはり2コース差しだろう。インコース艇が先に回ったその内懐にボートの舳先をねじ込む鋭く、小さい旋回半径が必要になり、選手のターン能力が問われる難易度の高い決まり手でもある。しかも、先に回ったインコース艇を差して捕らえるには、瞬発力のある力強い出足が必要となる。ターンの出口から加速していく行き足、そしてバックストレッチでの伸びが強ければ、より差しは決まりやすくなる。ちなみに、差しといえば2・4・6コースという偶数艇の決まり手というイメージが強いが、3・5コースの奇数艇が差して勝つ場面も往々にして起こる。例えば2コースからまくった艇にインコース艇が飛びついて(抵抗して)競る形となり大きく流れていく。ガッポリと空いたスペースを3コース艇が通して勝てば、それは差し決着だ。4コース艇がカドからトップスタートを決めて内3艇をまくる、その最内を5コース艇が差し切る展開(スジ)もあるだろう。3・4・5・6コース差しは、内がもつれる展開で利きやすいということだ。いずれにしても、差しには冷静かつ、正確な立ち回りが要求される。

 

まくり

内の艇を外から追い抜いて勝利する勝ち方。

ただ、勝ち切らなくとも、外から追い抜いていこうとする場合でも「まくる」という言葉は使われる。

内ほど有利な現代のボートレースにおいては、まくり決着は希少な部類だ。ちなみに“まくり”というひとつの決まり手だが、大きくわけて二つに分類できる。インコース艇以外のいずれかが艇が第1ターンマークに到達するまでに、内の艇の前に踊り出て、そのままターンしていくケース。例えば、3コース艇がトップスタートを決めて、グイグイと加速し、1・2コース艇の前を塞いでターンするのがそうだ。そしてもう一つ、今では公式の決まり手としては存在せずまくりとして一括りにされているが“ツケマイ”という戦法だ。同じく3コース艇で例に挙げると、スタートをしてから第1ターンマークまでは1・2コースと並走していくが、いざターンの時となると、フルスロットルに噴かした全速ターンで先頭に踊り出るケースだ。内の艇にピッタリと艇をくっつけるようにして外を回る(付けて回る)のがツケマイだ。冒頭で挙げたように、まくり決着は今となっては希少なケースだ。一般的なまくりの場合、内の艇よりも早いタイミングを決めることが条件となる。しかしスリットラインで自艇だけが飛び出すことはフライングを思うと気持ち悪いという選手もいる。とはいえ、横並びのスリット隊形からまくっていくには行き足・伸びの直線系統が強くないと難しいだろう。ツケマイは握りっぱなしのターンに耐えられる出足と掛かりも必要だ。機力の裏付けに加えて、度胸とスピードがものをいう戦法だといえる。

 

まくり差し

その名の通り、まくって差す決まり手で、すぐ近くの内の艇を外から抜いたあと、さらにその内にいる艇を内側から抜いて勝利する勝ち方。

内にある程度の艇が数が必要なため、基本的には4号艇以降の外枠の艇に有効な決まり手。

第1ターンマークにおける攻防において、もっともテクニカルな戦法・決まり手が“まくり差し”だ。まくり差しとは、1Mで自艇の内に位置する艇の上をまくりながらも、先に回っている艇の内側を通す(差す)決まり手だ。イメージしやすく例に例えるなら、3コース艇が2コース艇を抑え込みながら、インコース艇の内側にボートの舳先を差し込むケースだ。“まくりながらも、差す”という2つの技を同時にやってのける大技だといえよう。大外6コースの艇がトップスタートを切り、グイグイと伸ばして内艇をどんどんと飲み込んで行く、しかし1Mまでにインコース艇までまくることには及ばず、急減速して1コースの内側を通す差しに切り替えてハンドルを切る。これで先頭ゴールをすれば、決まり手はまくり差しだ。このケースでは、インコース艇は迫り来る6コース艇が横目に入る。「まくられてしまう」という危機感からフルスロットルでターンすることになれば、ターンは流れてしまう、これにより6コース艇の差しがより決まりやすくなるというメカニズムもあるだろう。ちなみに、まくり差しは艇と艇の間を突き抜けるコースを通すため、差しや、まくりより接触のリスクも上昇する面がある。さらにはあらかじめ艇の動きを予測して、「空くであろう」と思える間隙を目がけてハンドルを切ることになるため絶対的に高度な判断能力が必要とされる。たった一瞬の攻防を一太刀にする、鮮やかな芸当だ。

 

抜き

1ターンマークでの旋回時ではなく、それ以降の道中で抜いて勝利する勝ち方。

これが決まる場合は機力によるものも大きい。

 

恵まれ

先を走る艇がフライングや転覆などで失格となり、その後ろにいた艇が勝利する勝ち方。

その名の通り恵まれての勝利になるわけだが、これはこれでしっかりとした決まり手の1つ。

 

決まり手を予想に活かすには

競艇(ボートレース)の予想とは、簡単に言うと、第1ターンマーク(以下1M)の攻防を予想することがほとんどとなります。「2周目の第2ターンマークで、A選手がB選手を逆転するだろう」といった予想は、基本的には成立しづらいです。

つまり、1Mの攻防の結果、それが他でもない“決まり手”となりますので、競艇(ボートレース)の予想の予想をすることは、決まり手を予想することといっても過言ではありません。

予想の手順

つまるところ、ボートレースの決まり手で最も高い割合を占める「逃げ」が予想の鍵となるため、予想の第一歩は「逃げが決まるのか?」ということになります。

その結果、逃げが決まりそうならそこからの展開を予想、逃げ損じそうであれば、どの艇が、どのようにして逃げを阻むのか?という予想へ繋がっていきます。

基本は4種の決まり手

逃げ・差し・まくり・まくり差し(抜き・恵まれは例外として)4種の決まり手がボートレース予想のほとんどを占めてますので、それらの決まりやすい条件を深く理解することで、ボートレース予想がより一層おもしろいものとなり、また舟券の的中機会も増えることへとつながります。

選手特性や機力を把握する

より一歩踏み込むなら、1Mの攻防における選手特性も大事なポイントです。インコース勝率が高い、基本は差しに構える、スタート同体なら全速でまくっていく、など、選手毎の特性を把握しておくことも決まり手予想には欠かせないものとなります。

また、機力の把握も決まり手の予想とは密接に関係します。インコースの選手がワースト級の出足なら2コース差しが有力になり、行き足が弱ければ、2コースがまくって3コースに展開が向いたりします。

 

このように、ボートレース予想は様々な要素から1Mの攻防・決まり手をイメージすることが重要となります。

 

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