峰竜太悲願のタイトル、苦しみぬいた末の勝利【ボートレース若松・SG】
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2021年06月02日 公開

 

初日順延によって開催がずれ込み、5/31が最終日となったSGボートレースオールスター(ボートレース若松)。

優勝戦は「これぞSG」といわんばかりのメンツが揃い、誰が優勝してもおかしくはないというようなメンバー構成だったが、インから力強く逃げた峰竜太が通算5度目となるSG優勝を飾り幕を閉じた。

予選道中ではやや劣勢とも見える舟足だったが、最大限に機力を底上げし峰竜太が白いカポックを身にまとっていた。5年連続のファン投票1位。それだけ彼は期待を集め、一方でプレッシャーとも戦い続けてきた。

2017年に初のSGタイトルを手にして「無冠の帝王」も返上。2018年にはグランプリも制覇。さらに2020年には3つ目のSGを獲得すると、年末のグランプリでも優勝し、史上初の年間タイトル5冠を獲得。コロナ禍でもファンに勇気を与え続けてきた。しかし、彼にはどうしても獲得したいタイトルがあった。それがオールスターだ。

 

峰竜太にとっての「オールター」というタイトル

峰竜太といえば現在の日本ボートレース界で間違いなく最強の男。しかしそんな峰でも、5大SG(「ボートレースクラシック」「ボートレースオールスター」「ボートレースメモリアル」「ボートレースダービー」「グランプリ」)は、まだグランプリしか勝っていない。そう、今回の『ボートレースオールスター』は手にしたことがないタイトルだった。

初出場は2007年。1、2枠を除いては全て外寄りのコースから戦う厳しいものとなり結果は予選落ち。初優出を果たしたのは3度目の出場となった東日本大震災の直後とも言える2011年。この年以降、峰は毎年連続出場することになるわけだが、2012年、2013年、そして2016年、2019年とこれまでは5度の優出をしていながら、優勝には一歩及ばず、最高成績は2013年の2着で終わっていた。

ファン投票1位で初めて臨んだ2017年のドリーム戦では、1周1マークでまくられてしまい最後方。なんとかしたいと焦った峰はきり返し気味に2マークへ。無理な旋回でキャビテーションし、「セーフティ消波装置」に乗り上げる形となり、あわや大事故になりかねない旋回となった。

この頃から、峰にとって「オールスター」というものが、ずしりと重い枷のようになっていたに違いない。

ファンを常に意識し、ファンの期待に応えることこそが自分がすべき最大のことだと考えている峰にとって、ファン投票で順位の出る「オールスター」というタイトルは、喉から手が出るほど欲しいタイトルだっただろう。それほどファンへの想いは強く、峰の中に「オールスターで優勝する」ということへのこだわりは、年々大きくなっていたはずだ。

しかし、どうしても手にしたいその「オールスター」というタイトルは、同時に峰竜太にとって大きな立ちはだかる壁となっていた。

 

決して順調とは言えなかった今年の予選

迎えた2021年のボートレースオールスター。今年もファン投票1位で5年連続でのドリーム戦1号艇となる。

しかしレースは、中へこみの体系で大外の守屋美穂が内に寄せ、まくられそうになりながらも、3コースの2号艇の舳先が守屋のプロペラに接触。続くように2コースの6号艇にもぶつかりアクシデントとなった。峰にとっては幸いにもまくられなかったことや、事故に巻き込まれなかったことは運が味方をしたとも言えるだろう。

しかし2日目の前半は6枠から3コースまで動くも再びまくられる形に。それでもなんとか食い下がり3着を確保。後半の4枠も無難に2着とした。

3日目の前半は5枠での登場。住之江で行われたグランプリのトライアル最終戦のような「伝説のまくり差し」に匹敵するかのような旋回が飛び出すかと思われたが、4コースも連れるようにまくり差しを選択し、壁ができて3番手争いに。道中では珍しく後続に捌かれ、4着としてしまった。(なおこのレースでは6-2-3で17万を超える高額配当となっている。)後半でも3コースからまくり差しを入れたが一歩及ばず2着。1周バックの伸びが足りていない。

迎えた予選ラストの4日目。ここで峰竜太は再度ペラ調整をやり直した。そしてこれが大きな転機となる。その成果がその勝負の予選ラストで表れた。10レースに2枠で登場した峰竜太は2コースから渾身の差しを入れる。3日目までの足なら届かなかったはずの舳先、しかしここで1号艇の脇に半艇身届いた。

「これなら行ける」と峰も思ったかもしれない。

何度もSGを獲った男でさえこうなのだ。ペラの調整などの整備全般、ボートレースという競技は本当に一筋縄ではいかないということがよくわかる。

この時点で予選トップに立った峰は準優勝戦の1枠。さらに悲願のオールスター制覇まで2回逃げるだけという最高の状態にあった。しかし、その準優勝戦も試練が待っていた。

 

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命運を分けた準優勝戦

準優勝戦が行われる5月30日。枠順を見るだけでも相当のプレッシャーのかかるメンバー構成となった。

1号艇 峰竜太
2号艇 西山貴浩
3号艇 瓜生正義
4号艇 桐生順平
5号艇 松井繁
6号艇 深川真二

地元から予選を突破した2人の福岡支部の選手がおり、さらに2021年絶好調の桐生順平。外枠には前づけ必須のベテランの2人。コース取りから火花が散ることは必須の戦いとなった。

本番でも展示同様に6艇が100m近辺からのスローの起こしとなった。大外の深川が.08とわずかにのぞくが、その他の艇も.13前後にまとめたスタートとなる。

峰とパワーアップしたモーターは1マークを福岡支部の2人を蹴散らすかのように逃走。2マークを回るころには独走状態となっていた。

おそらくあのペラ調整がなかったらこの準優勝戦で峰は敗れていたかもしれない。明らかに上積みされた機力で優勝戦の1枠をも勝ち取り、ファイナルへと向かうこととなった。今回の峰の優勝の最大の命運は、今振り返ってもこの準優勝戦だったと言えるだろう。

 

悲願タイトルまであとひと逃げ

あと一回、逃げ切れば念願のタイトルを制覇できることとなる。しかし、そんなプレッシャーのかかる優勝戦は、当然ながら強烈なライバルが勝ち上がってきた。

2021年5月31日、第12レース優勝戦

1号艇 峰竜太
2号艇 白井英治
3号艇 菊地孝平
4号艇 佐藤翼
5号艇 桐生順平
6号艇 秋山直之

今節注目のモーターをあやつり、艇界屈指のスタート力を持つ菊地が攻めやすい3枠に。また、白井も初のSGを獲得したのが若松であり、当時も2コースからまくっての優勝。4枠の佐藤は土屋南との子供が誕生した後のSG優出で気持ちは入っており、カド戦も得意とする。桐生と秋山のターン力は非常に高く、センターに攻めの選手がいることで突き抜けも予想できた。

ファンの中には予選道中の峰のあの機力では危ういと思っていた人もいたかもしれない。ドリーム戦で大失敗をしたこともあるオールスター。SGでの予選トップは準優勝戦での2度のフライング。しかし、それらを乗り越えてここまできた峰竜太は、のしかかる重圧と同じくして、何が何でも勝つという強い気持ちも持ち合わせていた。

 

インから力強く逃げた優勝戦

優勝戦は前日とうって変わって静かな待機行動となった。枠なり、そして3対3の体系。スタートは内3人が0台という好スタート。4、5コースもこれに続く。

そこから1マーク。3枠の菊地が2枠の白井から半艇身ほどのぞき峰にプレッシャーをかける。

「まずい」

峰のファンならだれもがそう思っただろう。しかしSGを4度制し、うちグランプリを2度獲得。調整力も積み上げた男はこれ以上ない、寸分も狂わない完璧なターンでまくり差しの菊地を止めた

菊地は引き波に乗り、5枠の桐生と共に大きく外に流れる。差してきた白井、佐藤、秋山も置き去りにされた。バック側では早々に後続をぶっちぎったのだ。その後も危なげのないターンを見せる峰。インタビューで見せる「アロハ」をゴールの瞬間見せることが多い峰だが、今回ばかりは違った。2度大きくガッツポーズ。その握りこぶしが、これまでの苦労と、大きな喜びを表現していた。

 

安堵がこぼれたいつもの泣き虫王子

ピットに戻ると峰は涙で顔をくしゃくしゃにしながら、開口一番「今までで一番うれしいかもしれない」、「オールスターの重みを感じた」と話し始めた。

そして、峰にとってのオールスターとは、と聞かれると

 

「ボートレースの全て」

 

と答えた。これまで様々なレースに出走し、様々なタイトルを獲ってきた男がそう感じたのであれば、やはりこの「オールスター」というタイトルは一味違うのだろう。

そして、ファンに向けてメッセージを言われると、峰らしい熱い言葉が溢れた。

「自分がオールスターを優勝する日が来るとは思わなかったので、選手生命ある限りファンのために走り続けようと思います」

 

峰はやり切った。全てを出し尽くして夢のオールスターを勝ち抜いた。インタビューの最後にようやく笑顔でいつもの「アロハ」を出した。

そして、終えた直後に同支部であり弟子の上野真之介に抱きついた。普段おちゃらけた雰囲気のある峰が真に100%以上の力を出してやり切ったのを見たのはこれが初めてかもしれない。

 

本人にしかわからない重い重いプレッシャー

本人曰く、プレッシャーは相当なものだった。

開催一か月間から重圧を感じはじめ、開催が近づくにつれて「走りたくない」とさえ思うようになり、開催中も「選手辞めたいくらい辛かった」と思っていたほどだったという。

自分が目指してはじめたボートレース。そしてその中で目指した高み。しかし、自ら目指したはずの「目標地点」でありながら、そこを目前とした途端、人は重圧を感じ、逃げ出したくなる気持ちが芽生える。不思議なものだ。

だが、たいていの人はその重圧に打ち勝つことができない。プレッシャーに勝つというのは、並大抵の精神力が無いとなしえないことだからだ。

だからこそ、峰の今回のオールスターの優勝は、はたから見るよりものすごいことだと言える。ゴール直後のガッツポーズ、ピットに戻った直後の涙、これらが何よりもそれを物語っている。

同じ時代を生き、こんな素晴らしい生き様をリアルタイムで観れることを、私は幸せに思う。

 

優勝戦・インタビュー・セレモニー動画

 

さいごに

勝ちかけたSGもあった。フライングもした。無冠の帝王と呼ばれたこともあった。

しかし、頂点求めてボートに熱い気持ちをぶつけ上へ上へと進んだ。

その結果、SG制覇し、グランプリを勝ち取り、史上初の年間タイトル5冠を達成。

そして求めていたオールスターの頂点の上り詰めた。

人気も実力も最高を得た峰竜太。

これからも伝説のレーサーへと物語は続いていくであろう。

 

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