快挙!女子レーサー初のSG制覇!【遠藤エミ・ボートレースクラシック優勝】

 

2022年03月21日 公開

 

女子レーサーのSG制覇は初の快挙!

2022年3月21日ボートレース発祥の地・大村で大きくその歴史が動いた。遠藤エミがSG第57回ボートレースクラシックで優勝の快挙を達成、ボートレース70年の歴史上初めてとなる女子SGウィナーとなった。

女子最強のターンスピードを持つ遠藤だけに「いつかSGを」常にその期待を背負って挑戦し続けてきた。しかし、何度も何度も果てしなく高い壁に跳ね返されては肩を落とした。

これまでに出場したSGは27節、その中で過去4度の予選突破はあったものの、準優ではことごとく舟券圏外へと沈み、その度に悔しさに打ちひしがれた。悔し涙を堪えたこともあっただろう。でも今回は違う。大きな大きな栄光、いつの日も追いかけ続けてきた夢をその手に掴み、歴史の証人達の前でキラリと光る涙をこぼした。

節間 振り返り

初日

遠藤エミが手にしたのは68号機。勝率や2連率などの数字こそ上位モーターには見劣るが、近況しっかり動いている知る人ぞ知る好モーターだった。

初日の1走目(3R)はインから危なげなく逃げてまずは幸先良く1勝を挙げた。しかし4号艇で出走した後半(6R)は1マークで差しを狙ってハンドルを切ったが、引き波の濃いところに足下を取られて大きく失速、あれよあれよと6位にまで後退してしまうことに。一瞬のミスが致命傷になるSGの怖さを思い知るワンシーンだった。

しかし、今節の遠藤は諦めなかった。パワーを味方にジワジワと前を走るSG戦士達との差を詰めた。諦めずに追いかけ続け、3周1マーク「ここしかない!」そんな一瞬の隙に切り込んで2艇抜きに成功、一気に3位にまで浮上した。

そして4日目もこのメンバー相手でありながらしっかりと着をまとめ、女子では初となるSG予選1位通過を決めた。

あとは2度イン戦を制すだけ。しかし、それがそう簡単ではない。その2レースのイン戦を、過去幾多のレーサーたちが苦渋を飲んできた。そこから察しても、SGの準優からはじまる空気感、プレッシャーというのは、まったく別物だ。

しかし、その重圧をはねのけて準優勝戦を1着でクリア。ここまでの遠藤のレースの出来を見てきたファンはわかっている。遠藤エミは取るべくしてこの1号艇を手にしたことを。そうしてはじまった優勝戦、遠藤エミは1番人気に支持された。

2日目

2日目3Rは5枠で登場、前付け艇もあって大外に追いやられた遠藤だったが、ひとつ内の5コースカドからまくった艇の動きを見ながら1マークはまくり差し一閃!一気に突き抜け2勝目を掴んだ。これで完全に勢い付くと翌日、3日目6Rでは3コースから気迫溢れるツケマイ一発!白星を3つに伸ばした。
類い希なるターンスピード、そして思い切りの良さ、68号機のパワー、全てが噛み合いリズムも日毎に上げていった。

3日目 予選最終日

そして迎えた予選最終日、勝負駆けの4日目だ。女子選手にとってSG4日目は鬼門とも言える日だ。それまで快調に着をまとめていても突如としてブレーキを踏み、簡単とも思える必要得点さえ取れずに予選敗退するシーンを何度となく見てきた。
しかも遠藤に与えられたのは6枠、そして2枠だ。ジンクスが頭をよぎった。しかし、今節の遠藤はそのジンクスさえ力強くはねのけて見せた。
勝負駆け第1弾、4日目前半は6枠6コースで出走。大外から1マークをブン回すと、スルスル伸ばして前の艇に忍び寄ると、経済的なコースを通す技ありの2マーク逆転で3着とした。
迎えた予選ラストラン。4日目9Rは2コースからグリッと力強い差しで好位に付けると、2マークは迷いのない全速ターンで後続2艇を突き放し2着に入線した。予選を終え、女子選手では史上初となるSG予選首位通過を果たした。

準優勝戦

1号艇で迎えた準優勝戦、前付け艇があり隊形はオールスロー、100メートル辺りからの起こしで難しいレースとなった。波乱を予感したファンも少なくなかっただろう。しかし、完全に相棒68号機は仕上がっていた。深い起こしにも関わらず1マークに向かって遠藤だけが勢いよく加速すると、誰も寄せ付けないイン速攻で完勝。優勝戦1号艇の座を射止めた。

優勝戦

「あとひとつ」

周囲の期待は遠藤にプレッシャーとなりのしかかった。あるいは遠藤自身もそのお呪いのようなその言葉にひたすらに苦しめられたことだろう。

降りしきる雨の中ファンファーレが鳴り響いた。「ひとつのミスも許されない」そんな計り知れない重圧もあったか、スタート時に僅かな早起こし(握り込みのタイミングがワンテンポ早い)のミス。しかし大一番、共に戦ってきた68号機が遠藤を助けた。

みるみるうちに伸び返すと1マーク先取りに成功。回ってグリグリッと前に押すとあっという間に後続を引き離し、栄光のゴールへと向かってまた加速を強めた。そして丁寧に周回を重ね、全国の視線を一手に集め、歴史的ゴールを駆け抜けた。

「何もさせてもらえなかった…」とはレース後の毒島誠の言葉。SG7冠の猛者の言葉は最大の賞賛とも取れた。こうして女子史上初のSGウィナーが誕生した。

SGにおける重圧との戦い

レース後のインタビューや、表彰セレモニーのインタビューでも、「早く解放されたかった」と口にした遠藤エミ。前夜もなかなか寝れなかったという。

そして、「デビューから成長した部分は?」との質問に対しても、「…気持ちです」と答えた。

グレードの高いレースで勝つには、技術や調整力はもちろん必要。しかし、やはりSGの頂点を獲るために絶対的に必要なのは気持ち、精神力といったメンタル部分なのだろう。

思い起こせば前日、遠藤の優出を受けて寺田千恵が「優勝しちゃえばいいじゃん!」と言い放った。これは遠藤の気持ちを軽くさせるための寺田なりの計らい。すでにSG優勝戦の計り知れない重圧を経験している寺田の、その気持ちがわかるからこそ出た言葉であり、エールだった。

複数回SG優勝経験のある峰竜太も、過去何度も「はやく重圧から解放されたかった」と今回の遠藤エミと同じようなことを言っていたことがある。それだけ「SG」というレースの優勝戦、そして1号艇にのしかかるプレッシャーは相当なもの。本人にしか体感できないものであるに違いない。だからこそ、遠藤がインタビューで答えた「気持ちの成長」というのは、ある意味何よりも大事な部分なのかもしれない。

なんにしても、遠藤は2022年最高のスタートを切った。ちょっと気は早いが、これで年末のグランプリへの出場もほぼ決まったと言っていいだろう。
そしてその舞台は同じ大村。ありふれた表現とは承知の上ではあるが…「ドラマはまだ始まったばかり」だ。

関連動画

レース映像

レース後インタビュー

表彰セレモニー

 

遠藤エミ プロフィール

登録番号 4502
生年月日 1988/02/19
身長 155cm
血液型 A型
支部 滋賀
出身地 滋賀県
登録期 102期
師匠 深井 利寿

滋賀支部所属の34歳。102期生として2008年5月にびわこでデビュー。
2012年11月に鳴門で初優勝。2017年12月クイーンズクライマックスでG1初優勝。通算129優出37V。
デビュー以降、男子顔負けの強いレースで女子ボートレースのレベルを引っ張ってきた存在。
キャッチフレーズは湖国のレイクレーサー。

 

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