様々な苦難を乗り越え、今も躍進し続ける佐々木裕美選手について触れていきます。
目次
「佐々木裕美」プロフィール
山口県出身で「銀河系軍団」と言われている85期の中の1人です。同期にはSG覇者でもある井口佳典選手、湯川浩司選手、田村隆信選手、丸岡正典選手、森高一真選手のほか、四国地区選手権を制した興津藍選手など錚々たるメンバーと共に訓練をしてきました。
「佐々木裕美」ってどんな選手?
デビュー・初勝利・G1出場、そして結婚
1999年11月に下関でデビューした佐々木選手は初出走ながらいきなり2着に入る好走を見せました。その後も数回2着はあるものの勝ちきれず、初勝利は翌2000年8月のことでした。
2003年5月には唐津で初優勝。2004年前期の級別審査では初めてA2級へと上がっています。2004年3月の女子王座決定戦(現在のレディースチャンピオン)でG1初出場を果たし、3日目にはG1初勝利も挙げています。
2004年秋には同期の坂谷真史選手と結婚し、産休へと入っています。
産休から再びのG1へ
2005年を産休で全休し、復帰は2006年の1月。この年から坂谷選手と同じ福井支部に移籍しています。優出1回のみとはなったものの、夏頃からは着取りも安定感を戻し、いきなり年間を200走をこなすという多忙な年になりました。そして翌年の女子王座決定戦の出場も決まり3年振りに出場となります。
2007年2月26日
その日は佐々木選手がG1復帰戦となる徳山で行われる女子王座決定戦の前検日。当時まだクイーンズクライマックスもなく、女子レーサーの中で頂点を争う女子王座決定戦。それも元·地元となると、これから始まる大一番に気合いが入っていたことでしょう。そんな中、佐々木選手のもとに突然入った知らせ。同日、住之江では夫である坂谷選手が周年である太閤賞に出場。3レースに出場した坂谷選手は他艇と接触すると後続に乗り上げられるという事故に逢い病院へ搬送されました。しかし、12時54分に26歳という若さで亡くなられてしまいました。レースの時刻をおおよそ11時30分から12時頃としても、1時間程で亡くなってしまい、山口県から駆けつけた佐々木選手も最期を看取ることもできませんでした。あまりにも突然のこと。お子さんもまだ小さく、受けたショックは相当なものだったと思います。この事故以降、佐々木選手は7ヶ月以上出場することはありませんでした。
復帰…そして2度目の優勝
2007年10月13日、この日、佐々木裕美選手は水面に帰ってきました。ここまでくるまでの7か月間、きっと想像を絶するような日々を乗り越えたに違いありません。そして、復帰場所に選んだ水面は住之江でした。復帰することだけでも凄いことでありながら、辛い過去がある水面での復帰をあえて選択した佐々木選手。その当時の心境を佐々木選手はこのように話していたそうです。
「夫と一緒に参加するつもりで、あえて住之江を選びました。私が走ることによって、ファンの方々に坂谷を忘れないでほしい。」
この一文を見た時、夫を想う気持ち、そして自分を奮い立たせた精神力にとても感動をしました。
そして2008年7月。三国で2度目の優勝を飾ります。この年の優出も6回とデビューから最多の優出回数を記録。さらに勝率も6.53と一気に伸ばし、初のA1級にクラスをあげました。辛い過去がありながら、夫のため、坂谷選手のファンのため、不屈の向上心で這い上がってきたのです。
その後の佐々木選手
2度目の優勝から4年続けて1度ずつ優勝を記録した佐々木選手。2012年頃から低調期でB1級に降格しますが、再び2017年から4年続けての優勝を達成しています。2016年よりA2級をキープし続けており、6年連続で中国地区選手権にも出場。2016年には並み居る強豪を相手に優出もしていました。
しかし、再び苦しくなることもありました。2020年2月、近畿地区戦でレース中の死亡事故か発生してしまいました。これについて佐々木選手はTwitterで次のようにツイートしています。
突然の事に心の整理がつきません
— 佐々木裕美 (@ponpocopon622) February 10, 2020
悲しみが止まりません
心配の連絡をして下さった方、返事をしなくてすみません
私はもう大丈夫だと思ってましたが、全然大丈夫じゃなかったです
分厚いカサブタに守られてただけで一瞬で剥がれ落ちる事もわかりました
ご家族の事を思うと苦しいです
「何かあった時に悲しむ家族がみんなの後ろにいます。友人がいます。
選手以外のお仕事をされてる方も、日々怪我なく過ごされる事を祈ります。」
選手を含めた多くの方の安全を願う佐々木選手の切なる思いがヒシヒシと伝わりました。
思いやりと感謝の心で今日もボートに乗り続ける佐々木選手をたくさんの人が応援しています。
佐々木裕美選手の優勝歴
年月日 | 場 | グレード | 開催名 |
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2003年 |
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5月26日 | 唐津 | G3 | 西日本スポーツ杯争奪G3女子リーグ戦第5戦 |
2008年 | |||
7月17日 | 三国 | G3 | 第24回クイーンカップ競走 |
2009年 | |||
1月27日 | 浜名湖 | 一般 | 男女頂上決戦 日刊スポーツ ウインターカップ |
2011年 |
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9月11日 | 浜名湖 | 一般 | オール女子 浜名湖ビューティーアタック |
2012年 |
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4月17日 | 若松 | G3 | G3女子リーグ戦競走第6戦ナイトプリンセスカップ |
2017年 |
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10月14日 | 江戸川 | G3 | G3オールレディース江戸川女王決定戦キリンカップ |
2018年 | |||
2月 9日 | 尼崎 | 一般 | 男女W優勝戦 純烈祭 |
2019年 |
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11月 9日 | 徳山 | G3 | 西部記者クラブ杯争奪徳山オールレディース |
2020年 |
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7月13日 | 丸亀 | 一般 | ヴィーナスシリーズ ブルーナイターエンジェルCUP |
ボートレーサー以外の「佐々木裕美」