先日、発売前より話題になっていた宝島出版発行、西川昌希 著「競艇と暴力団「八百長レーサー」の告白」を早速読んだ。
個人的にも思うことが多くあり、今回は1人の読者として幾分感想を書き記したい。
目次
この記事を書くにあたって
実のところ、この記事を書くかは悩んだところがある。というのも、1冊でも多く売れることに対し私は歓迎できない部分があり、罪人がボートレース界を陥れるために書いたこの本の、どこまでが真実かわからないという側面があったからだ。
しかし、それでも内容に興味を抱く人はボートレースファンに数多くいる。さらには、かつて西川のファンだったという人もいるだろう。
散々悩んだ挙句、今回はそういう人たちの購入するかしないかの参考になればと思い、執筆する決断に至った。
なので是非最後まで読んで貰えればと思う。
著作情報・著作者について
著作物情報
タイトル:競艇と暴力団 「八百長レーサー」の告白
著者:西川 昌希
出版社:宝島社
サイズ・ページ:四六判・256ページ
発売日:2020.11.02
価格:本体1,600円+税
ISBN:78-4-299-01048-3
公営競技・ボートレース史上最大の八百長スキャンダルについて逮捕された本人が、赤裸々にその不正の全貌を明かす。暴力団組長の子として生きた幼少期、天才的素質の彼が闇堕ちのその理由とは?巧妙かつ驚きの不正の手口、消えた5億円の行方、そして不祥事をもみ消そうとしたボート界の隠蔽体質を告白。
西川 昌希とは
西川 昌希(にしかわ まさき)
1990年2月26日 三重県にて生まれる。
104期生として2009年の5月に三重支部よりデビューし通算27戦目の7月19日に戸田にて初勝利。同期には中田 竜太(埼玉)、竹井 奈美(福岡)などがいる。
通算優勝12回、2015年にはSG出場・G1優出にて2着などの実績を記録しA1レーサーとして活躍も2019年9月30日付で29歳の若さにて引退を発表。西川は当時腰痛の持病に悩まされており体調面の不安からという理由が発表されたが、皆さんご存知の通り2020年1月、八百長関与の疑いで逮捕の運びとなる。親族関係者を対象に行為敗戦の情報を流し見返り金を受け取っていた事実が表沙汰となりボートレース界に衝撃と不信感を与えたのは記憶にも新しい。その後の調査により計20レースに及び八百長行為が行なわれ賄賂とし約3700万円に及ぶ大金を受け取っていたことも発覚した。
初公判から7ヶ月が経過した2020年10月21日、名古屋地裁より懲役3年・追徴金3725万円の実刑判決が下された。担当裁判官は「競艇の公正や社会の信頼を著しく侵害した。競輪や競馬などに費消するための犯行で、動機は身勝手」と執行猶予のない実刑判決を下した経緯をコメントした。
本の目次
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- 1章 逮捕
- 2章 弘道会紙谷一家
- 3章 八百長
- 4章 黒い水面
- 5章 転覆
- 6章 法廷
西川昌希と暴力団・八百長行為
家族は暴力団関係者だった?現役時も関与?
幼少期に両親が離婚し、母親の親戚の暴力団幹部に引き取られると、中学になる頃には何不自由のない生活と家庭環境もあり一通りの悪事を全て行う素行の悪さを誇っていたらしい。
しかし、そんな西川を育てた暴力団関係者の育ての父が殺人事件に関与したとされ逮捕されると状況は一変した。「子供の頃から大きくなったら俺はヤクザになる」と思っていた西川は、生きる目標を失うまでに至った。
そんな西川ゆえ、競艇選手になったのも何かの偶然と気まぐれのような気持ちで受験し、受かったから続けていた、というような程度の考えだったという。
そして、西川を取り巻く環境は選手になった後も変わらず、暴力団との関係を断固拒否するボートレース業界の体質とは相違しており、八百長への関与も必然的だったのかもしれない。
八百長には乗り気だった?その驚きの真意とは
意図的な敗退行為を繰り返せばいくらなんでも他の関係者に容易くバレることがわかっていた西川は、それがわかりにくいよう売り上げの多いレースを対象に行なったという。
ちなみに全盛期の年収は2000万円を余裕に超える西川だが、そんな年収の額も、八百長数回で手に入る金だったというから驚きだ。ところが西川は、自分の金のためにそのようなことを行なっていただけではなく、それ以上に驚きの真意があった。
その当時の本人の気持ちが掲載されていたので紹介したい。
まるで自分の事を一流の役者とでも思っているような言い様に読みながら呆れて言葉を失ってしまった。
自分自身が八百長行為を楽しむその背景には、多くの人が期待して舟券を購入していることへの気持ちなど存在しておらず、その全てが舟券購入者への冒涜行為でしかなかった。
A1レーサーとしても活躍し、G1、SGレースにも参加した人間の発言とは到底思えないものであるばかりでなく、それどころかその地位を生かし八百長行為に活用していたことに腹立たしさすら覚える。こんな恥ずべき実態では擁護の余地もない。
現役引退の真相
引退報告を隠蔽してた?どこまでも呆れるその報告とは?
引退発表の理由として「持病の腰痛の悪化と体調不良」という表向きの理由が公表されたが、国税調査が入り直後に引退を決めた彼はその理由として、「親族関係者が脱税行為を行い自分はそのために情報を流した」という事実の隠蔽を行なっていたらしい。
なお、おおむねの報告をし選手登録消除申請書には「一身上の都合のため」と記載し提出したことから本人も体調不良というのは寝耳に水でその後の生活にも影響が出たらしい。
もっとも以前からその素行の悪さは支部の組合内でも悪い噂が流れていたらしく本人もそれは自覚していたとか・・・。
さいごに
これ以上の詳しい内容については実際に本を購入して是非その目で確認して欲しい。
暴力団員の息子として育った幼少~学生時代の本人が語る逸話、その手段に自分自身が酔いしれる八百長の驚きの手段、国税員が自宅に監査が入り逮捕までの空白の期間に起きた隠蔽行為の数々・・・。
本の冒頭、最後では「この本は懺悔の気持ちで書いた」と記載がされているが私はとてもそのように思えない。すべてを赤裸々に書いているようだが、どんな経緯があっても決して「八百長行為」を肯定できるはずもない。
むしろ自分のやってきた八百長行為や人生を武勇伝として語るような内容とさえとることができる。罪を棚に上げて、ボートレースファンを馬鹿にしているのか?と感じる人も絶対的にいるだろう。
競馬、競艇、競輪など各種公営ギャンブルに存在すると一部で言われている八百長行為が果たして本当に存在しているか?それは私自身もわからない。
しかし、各種組合は暴力団との関与やそのような行為を断じて許さないという姿勢に関しては一貫している。ゆえに今回の本を読んだからといってすべてが事実として受け入れることもないのではないかと個人的には感じた。
「本書が不正の末路を示す「教訓の書」となるとともに、業界の悪しき隠蔽体質が一掃されることを切に願う」という思い以前に本人がしっかりとまずは罪を償い、行なってきたことを反省するのが先なのではないだろうか?と最後に1人の読者として言い終わらせたいと思う。
この本は秀逸だった。内容まるまる信用した訳ではないがギャンブルやらん人間から見れば八百長する方もする方だが賭ける方も賭ける方。加害者被害者みんな賭場の中。給付金に手をつけた211人の方がタチが悪い。
あのー今でも普通に八百長、デキレースやってますけど?もっともらしく怒ってますが、デキレースで運営してますよ!ボートレースは